なぜ耳からの記憶は定着するのか?
子供の記憶を定着させる効率的な学習法とは?
目次
記憶の定着とは?
子育て中、「さっき教えたのに、もう忘れてる…」と感じることはありませんか?
記憶とは、単に情報を頭に入れることではなく、「見たこと、聞いたことを銘記(インプットし意味づけ)し、それを保持(脳内に留める)し、必要な時に想起(アウトプットする)こと」という一連のプロセスです。
この3ステップが機能して初めて「記憶が定着した」と言えます。テスト前の一夜漬けのような、すぐに忘れてしまうものは「暗記」に近く、深い理解や他の知識との関連付けが弱いため、脳に残りにくいのです。
この「記憶」と「暗記」の違いを理解することは、幼児教育のアプローチを見直す上で大切です。
将来にわたって活用できる「本物の記憶」を育むためには、効果的なインプット、保持、想起の方法を知ることが重要になります。
本記事では、特に「耳」からのアプローチに着目してご紹介します。
記憶力を育てるなら幼児期が最適
「子供の脳はスポンジのよう」と言われる通り、特に幼児期の脳は驚くほどの吸収力と柔軟性を持っています。
この時期は、新しい情報やスキルをスムーズに、そして深く吸収できる「ゴールデンエイジ」です。この貴重な時期に何を学ぶかが、その後の学習能力や思考力に大きな影響を与えます。
年齢が低いほど、先入観なく素直に情報を受け入れます。母国語を自然に習得するように、この時期に適切な刺激を与えれば、潜在能力を最大限引き出せます。
これは
記憶力を豊かに育てたいなら、幼児期という絶好の機会を活かすことが大切です。
なぜ「耳」から記憶するのか?
幼児期の記憶力育成において、「耳」からのアプローチは特に効果的です。視覚や触覚など他の感覚もありますが、聴覚からの情報は記憶定着に特別な役割を果たします。特に言葉の発達が著しい時期には、耳からのインプットが力を発揮します。
取り組みは3歳頃からのスタートがおすすめです。
語彙が増え、2語文、3語文と話せるようになるこの時期は、言葉への興味・理解が深まり、聞いた言葉を真似する能力が伸びます。このタイミングで、短い詩や童謡などの「暗唱」を取り入れてみましょう。
完璧でなくても、耳で聞いた言葉のリズムや響きを楽しみ、声に出す経験が大切です。好きな歌を口ずさんだり、早口言葉に挑戦したりするのも良いでしょう。耳からのインプットと口からのアウトプットの繰り返しが、記憶回路を刺激します。
文字を読む前に「聞く力」と「記憶し再現する力」を育むことが、学習の土台となります。
文字がまだ読めない幼児にとって、耳からの学習は自然で負担の少ない方法です。
「耳」が脳を変える
耳からの情報が記憶に残りやすい秘密は、脳の構造にあります。耳から入った音の情報は、脳の奥深くにある「間脳(かんのう)」に直接届きます。
間脳は生命維持を司るだけでなく、直観力、認識力、想像力といった高度な精神活動にも深く関わる、いわば脳の司令塔です。
一方、視覚情報は主に大脳皮質で処理され、間脳のような脳深部へは直接届きません。この違いが記憶の質に影響すると考えられます。
耳からの適切な刺激は、脳のより深い部分を活性化させ、記憶力をはじめとする潜在能力を引き出す鍵となります。
心地よい音楽でリラックスしたり、感動的な話に心が動いたりするのは、音が感情や身体感覚を司る脳の深い部分に影響する証拠です。
幼児期に良質な音楽や美しい言葉を耳からインプットすることは、知識を増やすだけでなく、脳自体を活性化させ、豊かな感性や思考力を育むことに繋がります。
一生忘れない記憶ができる
耳から入った情報は、脳の深い部分で処理され、質の高い長期記憶として残りやすい特徴があります。
特に、繰り返し耳にした情報は、単なる一時的な暗記ではなく、脳にしっかりと刻み込まれます。
幼い頃に繰り返し聞いた童謡などを、大人になっても歌詞を見ずに歌えるのはその証拠です。
「繰り返し聞く」ことで、脳はその情報を重要と認識し、記憶回路が強化されます。一度定着した耳からの記憶は容易に消えず、「一生ものの記憶」となる可能性を秘めています。
この能力は、学校での学習に非常に役立ちます。先生の話を集中して聞き、内容を記憶する力は学業に直結します。歴史の年号や英単語なども、耳からのインプットを活用すれば効率的に吸収できるでしょう。
試験や受験では、頭の中で情報を引き出す力が必要です。
幼い頃から耳からの記憶力を鍛えることは、将来の学習における大きなアドバンテージとなります。リズムや音の響きと共に覚えることで、より深く、長く記憶に留められます。
口からのアウトプットで知識を定着
耳からのインプット効果をさらに高め、知識を確実に定着させる鍵は「口からのアウトプット」、つまり覚えたことを声に出すことです。インプットした内容をアウトプットする行為は、脳にとって効果的な刺激となります。
声に出すためには、頭の中で情報を整理・再構築する必要があります。曖昧だった情報も、声に出そうとすることで明確に意識されます。また、
自分の声で発した音を再び耳で聞くことで、聴覚インプットが繰り返され、記憶回路がさらに強化されます。
発声という行為自体も、脳の様々な領域を活性化させます。
インプットとアウトプットの繰り返しにより、脳全体が活性化され、記憶ネットワークが強固になり、知識が「使える知識」へと変わります。覚えた詩の暗唱、物語の要約、歌唱などが効果的です。親子でのしりとりやクイズも良いでしょう。
大切なのは、インプットした情報を積極的に外に出す機会を作ることです。「耳からのインプット」と「口からのアウトプット」のサイクルが、記憶力、表現力、コミュニケーション能力を同時に育てます。
耳から記憶するための効率的な方法
耳から情報を記憶する際、特に「暗唱」などでは「集中力」が自然と養われます。漫然と聞いているだけでは記憶できません。意識的に音に注意を向け、内容を理解しようとすることで、集中する経験が繰り返され、注意力が育まれます。
現代は情報が多く、子供の注意が散漫になりがちです。ゲームや動画など視覚刺激が多い中、耳からの学習時間は、心を落ち着け一つのことに集中する貴重なトレーニングになります。
最初は短い時間から、お子さまが興味を持てる教材を選び、「聞くこと」が楽しいと感じられるように工夫しましょう。
繰り返し取り組むうちに、集中できる時間が長くなります。耳からの記憶学習は、知識だけでなく、学習の基礎となる「集中力」も同時に育む効率的な方法です。
かけ流す
耳からの記憶を促す手軽で効果的な方法が「かけ流し」です。
童謡、クラシック、物語、学習用音声などをBGMのように流しておくだけです。
お子さまが遊んでいる時やリラックスしている時に、無理強いせず自然に生活に取り入れるのがポイントです。
リラックスした脳は、無意識のうちにも多くの情報を吸収します。
特に幼児期の柔軟な脳は、「覚えよう」としなくても、繰り返し耳にする音やリズムを自然に捉え、記憶します。
家事中や車での移動中など、日常生活の隙間時間を活用できるのもメリットです。
特別な学習時間なしで、日常的に良質な音に触れることで、聴覚が刺激され、言語能力や記憶力の土台が育まれます。
ただし、質の高い音楽や美しい言葉遣いの物語などを選ぶことが大切です。最初は短い時間から始め、お子さまの反応を見ながら調整しましょう。「さりげなく」行い、音に親しむ環境を作ることが第一歩です。
声に出す
「かけ流し」でインプットした情報を確実に定着させるには、「声に出す」アウトプットが欠かせません。
聞いた内容を自分の口で表現することは、脳を活性化し、記憶回路を強化します。聞いているだけより、声に出すことで情報はより深く脳に刻まれます。
具体的には、かけ流しで聞いた歌を一緒に歌ったり、覚えた詩やフレーズを暗唱したりするのが効果的です。間違えても構いません。インプットした音を自分の声で再現しようとすることが大切です。好きなキャラクターのセリフの真似や、絵本のあらすじを話してもらうのも良いでしょう。
声に出す活動は、記憶力向上に加え、発音練習、語彙力増強、表現力育成にもつながります。
「言えた!」という達成感は自信になります。親が温かく見守り褒めることで、意欲が高まります。耳からのインプットと口からのアウトプットをセットで行う習慣が、学習効果を高める鍵です。
記憶を定着させるためのポイント
さらに記憶を確実に定着させるための実践的なポイントをいくつかご紹介します。
これらを意識することで、耳からの学習効果を最大限に引き出せます。
繰り返しかけ流す
記憶定着において「繰り返し」は非常に強力です。「かけ流し」も、何度も繰り返し聞かせることで、脳はその情報を重要と認識し、記憶回路が強化され、忘れにくい長期記憶となります。
日常生活の中に「かけ流しタイム」を習慣として組み込むのがおすすめです。
朝の支度中、車での移動中、夕食後のリラックスタイムなど、特定の時間や場面で同じ音声を流すように決めます。こうすれば、無理なく繰り返し聞く機会を作れます。
幼児期の脳は繰り返しを好む傾向があります。お気に入りの絵本や歌を何度も求めるのはその表れです。繰り返し聞くことで新たな発見をすることもあります。焦らず、生活の一部として「繰り返しかけ流す」ことを続けましょう。その積み重ねが、確かな記憶力の土台を築きます。
子供と一緒に親も歌ってみる
子供にとって、親と一緒にする時間は何よりも楽しいものです。「かけ流し」をしている歌などを、ぜひ親御さんも一緒に口ずさんでみてください。大好きな親が楽しそうに一緒に歌うことで、子供の興味や関心は格段に高まります。
一緒に歌うことで親子の間に一体感が生まれ、温かいコミュニケーションが生まれます。子供は安心感や喜びを得て、より積極的に覚えようとするでしょう。「学ぶことは楽しい」というポジティブなメッセージも伝わります。
また、子供の理解度を把握しやすくなり、さりげなくサポートもできます。歌だけでなく、詩の暗唱なども親子で一緒に声に出して練習しましょう。親自身も楽しむ姿勢が、子供の記憶定着を効率的にサポートし、親子の絆を深めます。
記憶が定着しているか確認してみる
「ちゃんと覚えられているかな?」と気になる時は、遊び感覚で確認してみましょう。テストのように問い詰めるのではなく、例えば、いつも聞いている歌や物語の音声を途中で止め、「この次は何だったかな?」とクイズのように問いかけます。
このクイズ形式は、子供にとってゲーム感覚で楽しめるため、プレッシャーなく記憶のアウトプット(想起)を促せます。
「わかった!」と答えられた時の達成感は、自信につながり、記憶をさらに強化します。
もし答えられなくても、
「そうだっけ?もう一回聞いてみようか」と一緒に確認すれば、意欲を損ないません。
この「確認クイズ」は、記憶の定着度を測るだけでなく、取り組みのマンネリ化を防ぐ効果もあります。時々クイズを取り入れることで学習に変化が生まれ、興味を持続させられます。親子で役割交代しながら楽しむのも良いでしょう。あくまで「遊び」として、楽しく記憶のアウトプットを促すことが大切です。
『ゴロゴロイメージ都道府県』
都道府県の学習に、イメージとゴロ合わせを組み合わせた独自の学習法を紹介します。
地理的な知識を楽しみながら、記憶を定着させることができます。
たとえば、愛媛県は「エイっとヒョウ跳び愛媛県」、秋田県は「あきたよあくびだ秋田県」といったように、形状のイメージと語呂を結びつけます。
例)愛媛県
音、リズムそして映像で覚える
七田式では、複数の感覚を同時に使用することで、より効果的な学習が可能になると考えています。音楽とリズム、そして視覚的なイメージを組み合わせた学習方法を展開します。
»「耳」が脳を変える
耳からの刺激は、体の基幹をすべてつかさどる「間脳」に届きます。
間脳は、直観力、認識力、想像力といった力に最も関係が深く、優れたひらめきや芸術性の根源がここにあります。
視覚からの情報は、この脳の深いところまで情報が届きません。
そのため耳からの適切な刺激は、記憶力や能力を飛躍的にアップしてくれます。
»口からのアウトプットで知識を定着
楽しい歌を使って覚えることで、子供たちはつい口ずさみ、歌ったりするようになります。このようなアウトプットが記憶に非常に役立ち、脳を活性化させ、覚えた知識を定着させます。繰り返し行うことで、知識が徐々にしっかりとした記憶となり、学校の課題やテスト、受験でも有利に働きます。
このアプローチにおいて、語呂合わせや形状を視覚化することで、子供たちは楽しみながら学んでいくことができるのです。たとえば、都道府県の記憶などにおいては、ユーモア溢れる語呂合わせやイラストを用いることで、学ぶ意欲がさらに高まります。
語呂で覚える
語呂合わせの方法は、難しい内容でも楽しく覚えられる記憶術です。地理や歴史など、特に覚えるのが難しいとされる分野でも、七田式ではユニークな語呂合わせやイラストを取り入れて学習を行います。子供たちは自然と覚えることができるだけでなく、遊びながら学ぶ楽しさも感じることができます。
ゴロゴロイメージ都道府県
DVDで都道府県を覚えたら、いろいろな取り組み方でかるた遊びをして、記憶の定着を図ります。 2種類のかるたを使って、楽しく都道府県を覚えましょう。- ✔3歳~中学生のお子さまにおすすめ
- ✔気づけば口ずさむ楽しい歌
- ✔ 付属のかるたで遊んで定着
4,800円(税込)
まとめ
本記事では、子供の記憶定着における「耳」からの学習の有効性と、その具体的な方法を解説しました。
記憶は「銘記・保持・想起」のプロセスであり、脳が柔軟な幼児期が育成の好機です。耳からの刺激は脳の深い部分「間脳」に届き、質の高い長期記憶を形成しやすいという特徴があります。
具体的な方法として、リラックス状態で聞かせる「かけ流し」と、声に出す「アウトプット」のサイクルが脳を活性化し記憶を強化します。
さらに、「繰り返し」、親子での「共体験(一緒に歌うなど)」、遊び感覚での「確認クイズ」が定着を助けます。
音、リズム、イメージ、語呂合わせの活用も効果的です。これらを通じて、知識だけでなく集中力や学ぶ楽しさも育んでいきましょう。
